原 麻理子さん

社会医療法人財団白十字会 白十字病院
リハビリテーション部 作業療法課

Mariko Hara

原 麻理子さん(44)


西南女学院短大卒。メーカーなどに勤め結婚し、
出産のために退職。銀行に再就職後、
専門学校柳川リハビリテーション学院入学、
2002年3月卒業、白十字病院に勤務。福岡県宗像市出身。

患者さんの生活や人生に関わる生きがいの持てる仕事です
患者さんの生活を一緒にサポートする―作業療法士を目指した動機を教えてください。
 銀行にパート勤務していましたが、より生きがいの持てる仕事をしたいと思っていた時、同僚が教えてくれたのが作業療法士でした。「患者さんの生活や人生に関わる仕事」と聞き、図書館で詳しく調べるうち、その仕事内容にとても興味をそそられたのがきっかけです。
―それで、この道にと決心されたのですか?
 はい。ただ作業療法士になるには養成校で学ばなければならないことが分かり、銀行を退職して教材を購入、ひとりで半年間受験勉強を続けて、30歳で何とか柳川リハビリテーション学院に合格できました。
―家庭を持っての学生生活はどうでしたか?
 娘が保育園児でしたし、自宅から通学に片道2時間かかりましたから家事、育児、勉強と時間のやりくりがすごく大変でした。自宅では復習時間など取れませんので、勉強は行き帰りの電車内と授業中にすべて覚えるようにしました。小学校から短大までのどの時代よりも一番勉強しましたね、本当に。ですから(学科、学年の成績優秀者各1人に与えられる)学院長賞、県知事賞をいただいた時はうれしかったです。同級生は干支が一回り下の子もいましたが、いいクラスで、すごく楽しかったです。
―学院時代は3年間、一人で母と妻と学生の3役を同時にこなしていたわけですね。
 そうですね。でも勉強がすごく楽しかったので、辞めたいと思ったことは1回もありませんでした。
原 麻理子さん―柳川リハビリテーション学院を選んだ理由は?
 いろいろ調べ、病院などでも「柳川は教員が充実している」と教えてもらったので。私の作業療法士としての姿勢、考え方の根幹は柳川で作られました。
―白十字病院を入職先に選んだ理由は何ですか?
 雰囲気が良かったこと、職場のトップの人柄に魅力を感じたこと、日本でトップクラスの高次脳機能障害の医師がいらしたことですね。高次脳機能障害は私の研究テーマで、ここでなら研究が続けられると思ったからです。入職6年目から国際医療福祉大学大学院の修士課程で2年、博士課程で3年、高次脳機能障害とそのリハビリについての研究を続け、2012年3月に保健医療学の博士号を取りました。
―高次脳機能障害に関心を持った理由は何でしょうか?
 学院時代から興味のある教科でしたし、白十字病院での実習でも高次脳機能障害の患者さんを担当させてもらったり、外部の研究会などにも参加させていただいたりして、いろいろな脳の働きとそのリハビリに対する関心がより深くなったのです。
―高次脳機能障害の人たちが置かれている現状はどういうものなのでしょう。
 患者さんには若い方も多くおられます。脳機能の障害は目に見えず、高次脳機能障害そのものも世間にあまり知られていないために、「交通事故後はわがままになった」、「病気の後からやる気がなくなった」と受け止められ、本人も「もともとこういう性格だから」と諦めてしまうこともあります。そうじゃない、それはあなたの本来の性格ではない、病気のせいだ、と本人にも周囲の人にも教え、専門家が適切に介入しなければ、その人らしさを取り戻すことが難しくなります。
高次脳機能障害とリハビリについて研究している―夢は何ですか?
 高次脳機能障害の人たちがハード面でもソフト面でも暮らしやすくなることです。日本では高次脳機能障害に対する認識とそのリハビリ自体、米英に比べてまだまだ遅れています。適切なリハビリを受けられるような道筋を作ってもらえる機会も少ない。そのため各国の人たちと情報交換しながら、遅れている部分を少しでも前に進め、ハード面、ソフト面を整えたいと考えています。この障害はその人の人生や人格にも影響を与えますが、作業療法士が適切に接することで生活も変わり、本来のその人らしさも取り戻せるのですから。
―これから作業療法士を目指す人たちにメッセージがあれば。
 作業療法士の役割は、対象者の人生を共に歩みながらサポートすることです。人とそして生活を大切にできる人だったら、いい作業療法士になることができ、また、楽しく働けると思います。そういう人はぜひ目指してください。また現在、作業療法士をしている人は、目の前の対象者にとって、出会う作業療法士はあなただけかもしれないので、「自分がその人の人生をサポートする責任がある」と思って接してほしいですね。
―娘さんも作業療法士を目指されているそうですね。
 はい。(それを聞いた時は)うれしかったです。反面、大変だと思いましたけどね。楽しんで勉強をしてくれたらいいなと思っています。
―妻であり母であったことで作業療法にプラスになったこと、逆に作業療法が家庭生活にプラスになったことはありますか?
 どちらも、ものすごく多くあります。子どもは思い通りにならない反面、こちらのいろいろな介入を敏感に察し、それに真っ直ぐに返してきます。患者さんの症状も一緒です。ともに反応がストレートだからこそ、自分の介入が(子どもや患者さんの状況、要求に)合っているかどうか手のひらを見るように分かります。新しい人生をサポートしていくという意味では同じですから。
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